短編小説


デビュー小説『夢幻のミーナ』

「友達なんていらない、私には親友がいるから。学校には来ないけど―?」中学二年生に進級したナミは春休み中、クラス分けをずっと楽しみにしていた。仲の良いメンバーとははぐれてしまったが、同じクラスには唯一、ユカリの名があった。彼女は三学期から学校には来ていない、ナミの大親友だった。いつか登校するかもしれない。そんな淡い期待を胸に、ナミは人見知りのユカリを待つため他の友達を作らずにいた。次第に孤立し、寂しさを募らせていくある日、夢の中でワインレッドの絵筆に乗る魔女ミーナと出会った。